ビジュアルスノウは、「ビジュアルスノー」「視界砂嵐症候群」などさまざまな呼称が存在しますが、どの呼称が正式名称なのでしょうか。今回は、希少疾患として謎多き当疾患の正式名称について探ってみました。また、「なぜ当サイトではビジュアルスノウと呼称するのか」についても説明してありますので、ぜひ最後までご覧ください。
診断書・医療サイトの呼称
以下は、ある患者さんが井上眼科病院で診断された際に渡された診断書です。
引用元:VSSの診断書(ビジュアルスノウ) note
上記以外には、「視界砂嵐症候群」「Visual Snow(症候群)」と記載された診断書がアップロードされているのを見かけたことがありますが……時間が経ち再度検索したところ見当たりませんでした。
眼科医のホームページや論文での呼称は、以下の通りです。
※「呼称」は、記事内で当障害を呼称した名詞のことを指します。
・清澤眼科医院(サイト内の記事ごとに呼称が変化)
⒈ 12954:ビジュアルスノウ(視覚雪)症候群:診断、病態生理学、治療に関する総説 呼称:Visual snow (ビジュアルスノウ)、 Visual static (ビジュアルスタティック)、視界砂嵐症候群 ⒉ 10700:ビジュアルスノーVisual snowではコントラスト感度が低下する。診断と特徴 呼称:ビジュアルスノー(視界雪嵐症候群) |
・ひきち眼科 |
・現代ビジネス(2021年9月の記事、若倉先生・清澤先生ご出演)
目の中に荒れ狂う“砂嵐”が…五輪メダリスト・水谷隼が明かした「目の異変」の正体(現代ビジネス編集部) | 現代ビジネス | 講談社(3/4) ビジュアルスノーシンドローム(Visual Snow Syndrome)、ビジュアルスノー |
・日本眼科学会雑誌
Visual snow syndromeの日本人21例の検討 呼称:visual snow症候群、小雪、Visual snow syndrome |
・日本頭痛学会
Visual snow syndrome患者に認められる脳の構造的および機能的変化 呼称:降雪視症候群 (visual snow syndrome: VSS) |
・Neurodiem (サイト内の記事ごとに呼称が変化)
⒈ 神経画像研究によって明らかになったビジュアルスノウの病態生理への洞察 ⒉ ビジュアルスノウ症候群(視界砂嵐症候群) 構造的および機能的変化 ⒊ 雪視症(visual snow):複合イメージング研究により新たな知見を提示 |
このように、診断書の呼称も医療サイトの呼称もバラバラであり、現段階では定まっていないことがわかります。
分野ごとに呼称が違う可能性も
(当疾患を認知くださっている)眼科では「視界砂嵐症候群」が好まれるようですが、2021年4月に出版された神経眼科学の教材では「visual snow症候群」と呼称されていました。分野ごとに呼称が違う可能性があります。
出典:神経眼科学を学ぶ人のために 第3版 – メディカルブックサービス online shop
当サイトでビジュアルスノウと呼称する理由
当サイトで「ビジュアルスノウ」と呼称する理由は、現状インターネット上でもっとも親しまれている呼び名であるためです。
インターネット上ではどの呼び名がもっとも検索されているのかを、キーワード検索数チェックツール「aramakijake.jp」で確認してみました。当ツールでは検索エンジンに入力されるおよその月間検索数を把握できます。
その結果は下記の通りでした。
ビジュアルスノウ | 1,520 |
ビジュアルスノー | データなし |
ビジュアルスノウ症候群 | データなし |
ビジュアルスノーシンドローム | データなし |
視界砂嵐症候群 | 72 |
雪視症 | データなし |
小雪症候群 | データなし |
Visual Snow | 海外サイトも含まれるため計測不能 |
Visual Static | |
Visual Snow Syndrome | |
※「データなし」は、検索結果数が少なすぎる場合に表示されます。 |
また、こちらは目視での調査となりましたが、(私が利用している)Twitterでリサーチをしたところ、「ビジュアルスノウ」と呼称されることがもっとも多かったです。
上記の結果から、インターネット上で当障害名が検索・呼称される際には、「ビジュアルスノウ」がもっとも親しまれている呼び名であることがわかりました。
当サイトでは、「病態の認知拡大」に向けての「広報」という役割を重視しています。このため、Google検索エンジンおよびSNS(Twitter)で親しまれている「ビジュアルスノウ」と呼称します。ご理解いただけますと幸いです。
余談―「ビジュアルスノウ」は中途半端な呼称?
なお、音声表記(発音記号)と日本語表記の関連から見ると、「ビジュアルスノウ」は非常に中途半端な呼称となります……発音記号に寄せるなら、「ヴィジュアルスノウ」「ビジュアルスノー」が適切です。
下記は、英単語とその発音記号、日本で親しまれている表記・呼称を表したものです。
- yellow⇒jélou⇒イエロー
- passport⇒pǽspɔ̀rt⇒パスポート
”yellow”を発音記号に寄せるなら「イェロゥ」ですし、日本で親しまれている表記・呼称にするなら「イエロー」です。これと同様に”passport”は「パスポートゥ」、「パスポート」となります。
この要領で、”visual snow(víʒuəl snou)”を捉えると、以下の表記が自然です。
- 発音記号に寄せる:「ヴィジュアルスノウ」
- 日本で好まれる表記・呼称にする:「ビジュアルスノー」
「visual」「snow」のどちらかだけを日本語的・英語的にするよりも、双方をどちらかに統一した方が綺麗となるのです。