「英語は苦手だけど、海外サイトでビジュアルスノウに関する情報をもっと知りたい!」という方にお知らせです。
当サイトでは、自身の英語の知見を通して翻訳活動をしてきました。が、最近使い始めたDeepL翻訳が非常に優秀で、英語が全然できなくても海外の情報を得られることに気がつきました。
ムメイさんのこちらのツイートが反響のあった様子ですが、こちらは文章の特徴からDeepL翻訳で翻訳されたものだと思われます。いずれにせよ、同ツールを使えば、誰でも、好きなサイトでこういった訳出ができるようになります。
ビジュアルスノウシンドロームの精神症状について
”#ビジュアルスノウ 患者は、不安や抑うつ、離人症、疲労、睡眠不足を高率に示し、QOLに大きな影響を与えていた。さらに、精神症状、特に離人症は、視覚症状の重症度の増加と関連していた。”#ビジュアルスノー https://t.co/6aiW8hLnFE— ムメイ (@isnt_it_time) October 16, 2021
それでは、一見難しそうに見える英語論文や海外サイトの読み方、ビジュアルスノウに関する情報の見つけ方を、一挙ご紹介します!
手順
STEP1:サイト・記事を見つける
まずは、ビジュアルスノウに関する、サイト・記事を見つけましょう。膨大な数のビジュアルスノウ関連の情報が『Visual Snow Treatment Report』に集約されていますので、ここから選択しましょう。
いくつかピックアップしてみました。
・You are not alone! – Reddit
海外のビジュアルスノウ患者さんが集まり、日々情報交換をしているグループ1
・Original Visual-Snow or Static forum – Tapatalk
海外のビジュアルスノウ患者さんが集まり、日々情報交換をしているグループ2
・Visual Snow: Old Problem, New Understanding – Frontiers
ビジュアルスノウに関する論文が発行されているサイト など
『Visual Snow Treatment Report』には、これらをはじめとしたさまざまなサイトが集約されていますので、ここから好きなものを選択してください。
ただし、そもそもサイト名や記事タイトルの英語がわからないかもしれません。そういった場合、Google翻訳の一括翻訳でページ全体を翻訳しましょう。
他のブラウザでは対応しているのかわかりませんが、Google Chromeでは右クリックからページ全体のGoogle翻訳が可能です。
下記はFrontiersのとあるページを一括翻訳したものです。
上記は2記事だけが表示されていますが、この手順によってページ内のその他の記事も翻訳されています。
STEP2:気になる記事全体をGoogle翻訳で一括翻訳
気になったページ全体をGoogle翻訳で翻訳します。
STEP3:内容を掴む
その後は、「Abstract:概要」「Introduction:序論(研究目的や背景情報)」などの見出しを参考に、各項目の概要を確認してください。
そして、その中で気になるポイントがあれば、ここでDeepL翻訳ツールを活用します。Google翻訳で英語が日本語に訳されていますが、この際には再度英語の文章を用意してください。同じページを2つ用意して、片方はGoogle翻訳用・片方はDeepL翻訳とすると効率的です。
DeepL翻訳(無料版)は、非常に丁寧かつ自然な翻訳をしてくれますが、文字数制限がありページ全体の一括翻訳には対応していません。このため、Google翻訳である程度目印をつけて翻訳をします。
以上です。これで、英語で書かれたビジュアルスノウ関連資料や海外の患者さんによる情報交換サイトを比較的綺麗な日本語で読めるようになります。
概要読みをする際のポイント
概要読みをする際のポイントは、概要や結論などの「一部」だけを読むのではなく、気になったパートの全体を読むことです。また一度は、全ての見出しを流し読みすることも大切です。これをしなければ、貴重な情報を見落としてしまう可能性があります。
例えば下記論文の場合は、概要や結論を見ると、「ビジュアルスノウ患者のQOLを調べた」「精神症状の治療により、患者のQOLは改善できる。」と一言だけ書いてあります。
・The Psychiatric Symptomology of Visual Snow Syndrome | Frontiers
しかし、精神症状の具体的な治療法や耳鳴り・睡眠障害などの治療に関する詳細については、概要や結論には含まれていません。これらの情報は、「Discussion-Treatments」に記載があります。
こういった貴重な情報を見逃さないためには、概要読みをするにあたって「文字通り”概要”パートだけ読んで終わり」ではなく、一度は全体に目を通すことが重要になります。
Google翻訳とDeepL翻訳の比較
下記は、Google翻訳とDeepL翻訳を比較したものです。
Results: VSS patients showed high rates of anxiety and depression, depersonalisation, fatigue, and poor sleep, which significantly impacted quality of life. Further, psychiatric symptoms, particularly depersonalisation, were related to increased severity of visual symptoms. The severity/frequency of psychiatric symptoms did not differ significantly due to the presence of migraine, patient sex, or timing of VSS onset (lifelong vs. later onset).
引用元:The Psychiatric Symptomology of Visual Snow Syndrome | Frontiers
Google翻訳
結果:VSS患者は、高率の不安神経症とうつ病、離人症、倦怠感、睡眠不足を示し、生活の質に大きな影響を与えました。 さらに、精神症状、特に離人症は、視覚症状の重症度の増加に関連していた。 片頭痛の存在、患者の性別、またはVSS発症のタイミング(生涯対その後の発症)のために、精神症状の重症度/頻度に有意差はありませんでした。
DeepL翻訳
結果 VSS患者は、不安や抑うつ、depersonalisation、疲労、睡眠不足などの症状を高率に示し、QOLに大きな影響を与えた。さらに、精神症状、特に脱人称感は、視覚症状の重症度の増加と関連していた。精神症状の重症度や頻度は、片頭痛の有無、患者の性別、VSSの発症時期(生涯発症と後期発症)によって有意な差はなかった。
Google翻訳は、文法を忠実に訳すことに長けています。専門用語の”depersonalisation”を「離人症」と訳せており、専門用語にも多少強い様子です。一方で、機械っぽさがあります。
DeepL翻訳は、自然な日本語に長けており、機械っぽさがあまりありません。文脈から「です・ます調」「だ・である調」のどちらが適切かを見分け、適切に使い分けてもくれています。こういった強みがある一方で、離人症をdepersonalisationや脱人称と訳すなど専門用語に弱い印象があります。
このようにどちらも長所と短所がありますので、併用したり、好みに応じて使い分けたりしてもよいでしょう。
翻訳ツールの限界(言語ではなく内容の壁)
翻訳ツールにも限界があります。たとえ言語の壁を越えられても、ツールが高度な専門知識を一般の人でもわかるように説明してくれることはありません……
このため統計学や脳科学など専門的な話がメインの記事では、どれだけ綺麗かつ正確に翻訳できても、内容の読解はできません。そういった内容を読む際には、該当分野の勉強が必要になります。
まとめ
DeepL翻訳は完璧なツールではありませんが、非常に綺麗な日本語に訳してくれます。これまで機械じみた翻訳文を読むのが苦手だった方は、一度使ってみるとよいでしょう。
【余談】かの翻訳記事は、なぜあれほど時間がかかったのか?
DeepL翻訳を使ってみると、訳が思いのほか綺麗で「なんであの人は、かの翻訳記事に30時間もかかったんだ?」と思うかもしれません。あれほど時間がかかった理由は、訳語・文法チェックを全文行ったり、補足説明や見出しの増設などをしたりしたためです。あと当サイトの別記事の修正などにも追われていました。
以上、余談でした!