ビジュアルスノウ症候群(視界砂嵐症候群、雪視症、小雪症候群、以下ビジュアルスノウ)の治療法確立を速めるたった1つのこと。それは認知拡大です。研究を発展させ、一刻も早くあなたの症状を完治・軽減させるために必要となるものです。
実はこの認知拡大にはまったく性質のことなる2つのパターンがあります。この記事では、各パターンの目的や具体的な方法をご紹介します。
下記のような方に向けて執筆しておりますので、該当する方はぜひ最後までご覧ください!
- ビジュアルスノウの苦痛からはやく解放されたいけれど、医師に認知すらされていない現状に嫌気がさしている
- 治療法確立を少しでも早めるために自分にできることがあれば、協力したい
ビジュアルスノウ認知拡大における2つのパターン
ひとことに認知拡大といっても2つのパターンがあり、それぞれ目的が異なります。この章ではこれらのパターンについてご紹介します。
医学界での認知度を上げる
まず1つ目は医学界での認知度を上げるパターンです。医学界での認知度を上げる目的は、ずばり研究に携わってくださる方々の母数を増やすことです。ビジュアルスノウに関心を持つ方が増えれば増えるほど、学会で取り上げられやすくなります。
そして話題・議題に上がれば上がるほど研究してくださる人数が増えるようになり、研究の規模が大きくなります。ひいては診断や治療法発見のスピードが速くなるのです。
このように、認知拡大をするうえで「医学界での認知度を上げる」が1つのパターンとしてあります。
一般人の認知度を上げる
続いて一般人の認知度を上げるパターンについてです。一般人の認知度を上げる理由は、研究資金を募るためです。研究はノーコストでは行えません。研究を進めるうえでは診断に必要な専用の機材を開発などで費用がかかるものです。研究につかえる資金が多ければ、こういったお金の問題を克服でき、研究進展のスピードを高められます。
下記2つの動画において、ビジュアルスノウの研究に励むテリー・サング医師やオーウェン・ホワイト教授も「研究には研究資金が必要である」と強調しています。
サポートがなければ研究を続けることは不可能でしょう。したがって寄付をしていただけると非常に助かります。
広報は研究と同じくらい重要ですか?(患者さんからの質問)
興味深い質問ですね。言ってしまえば、研究にはお金が必要です。
そして時として広報により研究資金が集まります。
いえ……間違いなく、広報により、研究に投資をしてくれる人々を見つけられる可能性が高まります。
このように研究資金が必要であり、その資金を集めるために一般人の認知度を上げることも重要となるのです。
医学界での認知度を上げる方法
ではどのように医学界での認知を上げるのでしょうか。その方法は2つです。
医者に対等な立場でアプローチ
1つ目は医師にアプローチする方法です。眼科医や神経眼科医、日本に少数いる検眼医、その他の分野の医者に対して、対等な立場でアプローチします。具体的には、「この病気で困っています。助けてください」ではなく、当病気に関する客観的な情報( 研究進捗状況や課題、展望など)を資料にまとめて提出するイメージです。
こういった方法で医師にアプローチすることが、医学界での認知度を上げるうえで役立つでしょう。
潜在的な患者さんにアプローチ
2つ目は潜在的な患者さんにアプローチする方法です。一例としては、数千名規模のアンケート調査を一般人に実施し、ビジュアルスノウの診断基準に合致する人を探す方法があるでしょう。
コペンハーゲン大学の研究チームは1015人にこれを実践し、その結果一般人1015人中の22人がビジュアルスノウを患っていることの特定に成功しました。
こういった方法で潜在的な患者さんにアプローチすることが医学界での認知度を上げるうえで役立つでしょう。
Shedding new light on visual snow syndrome | Nature Reviews Neurology
潜在的な患者さんへのアプローチが必要な理由
前述した「潜在的な患者さんへのアプローチ」が必要なのはどうしてでしょうか。その理由について解説します。
まず潜在的な患者さんとは「視界に砂嵐や過度の残像が見えるが、それがビジュアルスノウという障害であることを知らない」「病院で各症状について説明したが、理解してもらえず、自分がどういう状態にあるのかわからない」といった人達のことを指します。
こういった人達にアプローチすることが大事な理由は、当障害を自覚し医師に症状を訴えかける人が多くなるほど、症例数・報告数が増えるためです。日本の医師はまだまだ認知していないため確率は低いですが、症状を訴える人が増えるほど、清澤眼科医院やひきち眼科のように当障害を認知している医師に当障害を診断される可能性が高まります。
そして症例数・報告数が多くなればなるほど、研究は進みやすくなるのです。極端な話、世界に一人しか患者さんがいない病気・障害の治療法を開発するよりも、世界に数十万人患者さんがいる病気・障害の治療法を開発したほうが世の中のためになりますし、お金も動くため、研究が進展しやすくなるものです。
オーストラリアのモナシュ大学 眼球神経(眼球運動)研究室長ジョーン・フィールディングも同様のことを下記の動画で述べています。
私が本当に伝えたいことは、認知拡大におけるこういった考え方です。
・ビジュアルスノウは神経学的症状であること
・ビジュアルスノウで苦しんでいる人達が大勢いること
・現段階では注目されていないこと
・ビジュアルスノウ患者が体験していること、見ていることが人々に理解されていないこと以前、私達が企画したテレビとラジオの初期のインタビューで「ビジュアルスノウ患者は大勢いる」と話したことがあります。現在でも私はそのように考えています。VSSは希少疾患(患者数の小さな疾患の総称)ではないと考えています。
ただ単に、現時点では私達が正確な数を数えられていないだけです。いつの日か、潜在的にVSSを患っている人々を診断することを検討しています。
彼らが診断されていない現在の状況よりも、多くの人がVSSだと診断されている状況の方が、認知拡大をしやすいためです。
これらの事情・理由により、潜在的な患者さんにアプローチすることも大事となるのです。
一般人の認知度を上げる方法
一般市民の認知度を上げるうえでは、物珍しくかつ生活に支障をきたす「希少疾患」としてのバズを狙う必要があるでしょう。
ある漫画チャンネルでは『視界砂嵐症…治療法が無い奇病をマンガにした。』とのタイトルで2019年10月に漫画動画が投稿されました。この動画は2021年6月29日時点で180万再生をいっており、これはバズに成功したと言えます。
こういった方法が認知拡大の一例として挙げられます。
バズを狙う際には押さえておきたいポイントがあります。それは、他にも希少疾患や難病があるなかで「なぜビジュアルスノウを優先的にサポートしてもらう必要があるのか」や「どのようにしてバズを狙うのか」など広報の戦略を練ることです。
私もVSS患者であり日々この症状に悪戦苦闘していますが、正直なところ、良くも悪くもビジュアルスノウ症候群は希少疾患の1つにすぎません。このため当障害を客観視したうえで広報の戦略を練ることが必要になってくるのです。
また、ただバズっただけでは不十分です。一般人の認知度を上げる目的は「募金」であるため、「治療法確立のため寄付をお願いします」と寄付への行動を明確に促す必要があります。そもそも寄付先や寄付方法などを検討することも必須です。
このように多角的な側面から戦略を練るため非常に骨が折れますが、バズを通して一般人に認知をしてもらうことにより、研究資金が集まりやすくなります。
なおバズの副産物として、潜在的な患者さんに当障害を認知してもらえることもあるでしょう。
まとめ(あなたにもできること)
ビジュアルスノウ症候群(視界砂嵐症候群、雪視症、小雪症候群)の研究を続けていくでは研究資金が必要であり、そのための手段として認知拡大が非常に重要な役目を果たします。そして認知度を向上させていくうえでは、医学界での認知度と一般人での認知度を分けて考えることが大切です。
それぞれのパターンでするべきことは上述した通りです。ここまで読んで「自分にできることはほとんどなさそう・・・」と思われたかもしれません。しかし当サイトに投稿した下記記事をTwitterでいいねやリツイートしていただくだけでも効果は望めます。ご協力よろしくお願いします!